新東名高速道路(新東名)御殿場JCT~三ヶ日JCTが4月14日15時に開通した。第四次全国総合開発計画が閣議決定されて以来25年、東日本大震災を機に高速道路の代替性が強く叫ばれる中、当初計画より1年も早い開通となった。高速道路開通史上最長となる延長162㌔の供用開始により、東名とのダブルネットワークを実現、交通量の分散に伴い東名の混雑が抜本的に解消されるとともに、定時性・高速性を確保でき3大都市圏の連携が強化される。また、災害や事故などの発生により通行止めとなった場合でも、相互に補完・連携できるなど整備効果は大きい。我が国の産業・文化・社会経済活動の一翼を担う大動脈が、いよいよ誕生する。

新東名のメリット

 新東名の開通によって、東名との間で相互に行き来が可能なダブルネットワークを形成、災害など緊急時の代替路線の確保、避難路・緊急輸送路としての機能、緊急体制の支援など、安全・安心の実現とともに道路の信頼性を向上させる。

◇10分短縮

 新東名の開通によって、所要時間が短縮されるため都市間の連携強化が期待される。東名を利用する場合、東京IC~静岡ICまで175分かかるのに対し、新東名は新静岡ICまで165分となっており10分の短縮が可能となった。また、名古屋ICまではさらに10分短縮でき、計20分の短縮となる。

◇渋滞緩和

 東名は交通量が交通容量を大きく上回っており交通集中による渋滞が多く発生、その数は年間2500回にも及ぶ。新東名が開通することによって、東名を利用している交通が新東名に転換・分散することによって静岡区間における渋滞がほぼ解消される。

◇災害対策

 東名と国道1号、JR東海道線が集中する静岡市由比海岸においては、大規模な地すべり地帯であり、東名では台風や高潮による通行止めが多発している。さらに、東名沿線地域は東海地震の防災対策強化地域に指定されている。
 そのため、東名と新東名の間で相互に補完・連携する高速ダブルネットワークが確保されることにより、定時性が確保されるほか、災害等の緊急時の代替性の確保、避難路・緊急輸送路としての機能、緊急体制の支援など安全・安心の実現とともに信頼性が向上する。また、高い確率で想定されている東海・東南海・南海の3連動地震発生時には、山間地域を通過する新東名に津波が到達する可能性はなく、本線構造物も被害を受けないため、海側を通過する東名の代替道路としての機能が期待できる。

◇震災時の緊急交通路

 東北地方太平洋沖地震によって発令された大津波警報によって一時通行止めとなり、それに代わる緊急交通路として消防などの緊急車両が工事中の新東名を通って被災地に向かい、いち早く人命救助や物資の輸送を行った。

新東名だけの特徴

◇道路の構造に工夫

 新東名は、東名と比べてカーブや坂道が緩やかな構造となっている。東名は最小半径300mとなっているのに対し、新東名は3000m、また最大勾配も東名は5%、新東名は2%と直線に近い道路となっており、運転時に安全・快適な走行ができる。

◇最先端の高速道路技術採用
 わが国が世界的に誇る自動車、情報通信、建設などさまざまな分野の最先端技術を駆使し、また民間ノウハウを最大限に活用した多様なサービスを提供している。

・新東名では、路側に2㌔間隔で設置したカメラで道路前方の状況を撮影・解析しITSスポットに対応したカーナビや路側に設置した簡易情報板を通じて、迅速かつ的確な道路情報を提供している。

・車両の進行方向を照らす新たなトンネル照明・プロビーム照明を採用し視認性を向上させている。
*ITSスポット(DSRC)=無線通信技術を活用して、人と車と道路を情報で結び、より安全で快適な道路交通を目指すシステム

13の商業施設「ネオパーサ」 EV充電スタンドも完備

 今回の開通に合わせ、サービスエリアとパーキングエリア合わせて13カ所の商業施設が開業する。中でも注目は、未来を予感させる商業施設をコンセプトに立ち上げた新ブランド「NEOPASA(ネオパーサ)」だ。新東名開通区間に7カ所設置、多様なニーズのお客さまに快適に利用できるように施設規模、業態・施設配置、園地計画に至るまで新たな設計思想で一から造り上げた商業施設であり、新しい大動脈である新東名とともに「新しさ」を表現するための「NEO」と、パーキングエリアの「PA」、サービスエリアの「SA」を組み合わせてネーミングしている。
 商業施設には、一般道からも出入りでき、施設周辺の住民でも気軽に立ち寄ることができる。また、サービスエリア内では、電気自動車(EV)急速充電スタンドを完備しているのを始め、ITSスポットも配備、愛犬とともに憩えるカフェやドックランなども設けるなど、誰もが楽しめる空間となっている。

新東名の歴史と未来

 1969年の全線開通以来、東名は日本の大動脈として産業・文化・経済に多大な貢献を果たしてきた。しかし、日本経済の急激な発展に伴って自動車交通量が増大、全線にわたって混雑が著しく高速性、定時性が低下している。開通からすでに43年が経過し、さらに車両の大型化など環境変化によって適切な老朽化対策が急務となっている。
 新東名はこれらの問題点に対応、さらに東京-名古屋-大阪の3大都市圏を結ぶダブルネットワークを形成し、人・モノの流れを支え、東名、名神との適切な交通機能の分担と高い信頼性を確保し、わが国の産業・文化・社会経済活動の振興に寄与するために建設が計画された。

◇開通までの道のり
 新東名は、第四次全国総合開発計画(1987年6月閣議決定)において、多極分散型国土形成に向けて高規格幹線道路網1万4,000㌔が位置付けられ、国土開発幹線自動車道建設法改正において、規定予定路線に3,920㌔が追加された1万1,520㌔の中で位置付けられた。
 今回開通する御殿場JCT~三ヶ日JCTは、89年2月に開かれた第28回国土開発幹線自動車建設審議会において基本計画が策定され、その後、建設省(現・国土交通省)において必要な調査を行い、関係行政において環境影響評価と都市計画が決定された。御殿場JCT~長泉沼津は97年12月、長泉沼津~三ヶ日JCTは93年11月に施行命令を受けている。

◇全長約254㌔、全線開通に向けて
 NEXCO中日本にとって今世紀最大のプロジェクトとなる新東名は、2012年4月14日、静岡区間となる御殿場JCT~三ヶ日JCT162㌔が開通する。高速道路史上最長となる今回の開通を皮切りに14年度に浜松いなさJCT(静岡県)~豊田東JCT(愛知県)、16年度に海老名南JCT~厚木南IC(神奈川県)、18年度に厚木南IC~伊勢原北IC(神奈川県)、そして最終的には20年度に伊勢原北IC~御殿場JCTの開通で、新東名区間の全線となる海老名南JCT~豊田東JCT約254㌔が開通する。

新東名の建設を支えた最先端技術

山間部を通過する新東名では、多くの長大橋梁や長大トンネルを建設している。安全と品質の確保、さらにコスト縮減のため、最先端の技術や工法を採用、土木学会などから多くの表彰を受けている。

〈平成21年度土木学会田中賞〉猿田川橋・巴川橋/PC複合トラス構造


 猿田川橋・巴川橋は、上部工の橋梁形式で日本で初めてPC複合トラス構造を採用した最大支間119mのPC連続ラーメン複合トラスト橋となっている。上部工をコンクリート床版と鋼トラス材を組み合わせた複合構造とすることにより、従来のコンクリート橋に比べて軽量化でき、それにより橋脚や基礎構造のスリム化が図られコストを削減している。また、この特徴的な透明感のあるフォルムはモニュメント性を創出するとともに、周辺住民への圧迫感を軽減、自然に溶け込む景観を創造している。
(最大支間長119m)

〈平成16年度土木学会田中賞〉新富士川橋/鋼・コンクリート複合アーチ橋


 新富士川橋は、1級河川富士川を跨ぐ支間長265mの長大アーチ橋である。日本で初めての「鋼・コンクリート複合アーチ橋」を採用している。複合アーチ橋は、アーチ部および鉛直材に圧縮特性に優れたコンクリート構造を使用し、上部工には軽量化を図ることが可能なPC床版鋼2主桁を使用した合理的な構造となっている。このため、通常のコンクリートアーチ橋と比べ、重量が約40%軽減され、約20%のコスト削減を図っている。
(支間長265m)

〈平成19年度土木学会技術賞〉粟ヶ岳トンネル/新東名最長の双設トンネル

 粟ヶ岳トンネルは、延長約4.6kmの新東名で最長の双設トンネルである。このトンネルは、脆弱地山がトンネル全長の78%を占め、また掘削断面積も大きいことから、TBMを使用して導坑を掘削した後に拡幅掘削を行う工法を採用している。今回の施工実績により、脆弱地山における安全性・経済性に優れた施工技術を確立した。
(4.6km)

〈平成20年度土木学会技術賞〉今里トンネル/超近接双設大断面トンネル

 今里トンネルは、建物直下を通過する延長約800mの超近接双設大断面トンネルとなっている。このトンネルは、土被り約10-14mと薄く、上下線のトンネル間の距離が4-6mと近接する厳しい施工条件のもと地表面の沈下抑制等のための中壁分割工法や地盤判別システムを用いた地質確認による効率的な地盤改良などの技術を採用し、直上の建物等への影響も抑えた。
(延長約800m)

〈平成22年度プレストレストコンクリート技術協会賞(作品部門)〉谷津川橋

 谷津川橋は、波形鋼板ウェブとストラット付き床版を有する橋長が上り約384m、下り406mの鋼・コンクリート複合PC橋であり、新東名の建設で新しく開発された技術を取り入れ、経済性、耐久性、施工性、景観性を向上させている。主桁断面は、波形鋼板ウェブを採用し、さらに斜めのストラットで張り出し床版を補強して桁断面を縮小している。この形式を採用することで主桁重量が軽量化され、橋脚や基礎のスリム化が可能となり、コストを約15%削減できた。
(橋長・上り約384m、下り406m)

新東名の建設を支えた最先端技術2

〈平成12年度土木学会田中賞〉
都田川橋/PC2径間連続エクストラドーズド橋(全長268m)


〈平成15年度土木学会田中賞〉
芝川高架橋/山岳橋梁(最大橋脚高83.0m、有効幅員16.5m)


〈平成15年度土木学会田中賞〉
藁科川橋/鋼連続桁橋(全長約1km)


〈平成17年度土木学会田中賞〉
桂島高架橋/コンクリート橋(橋長200m余)


〈平成18年度土木学会田中賞〉
内牧高架橋/コンクリート橋(橋長約1km)


〈平成19年度土木学会田中賞〉
山切1号高架橋/PC15径間連続箱桁橋(橋長約700m、支間長最大50m)


〈平成16年度土木学会技術賞〉
富士川トンネル/大断面トンネル(延長約4.5km)